〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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■平成20年度
日本酒で乾杯推進会議「佐賀大会」開催
佐賀発「乾杯と交歓」の夕べ。<酒と器とうまかもん>をテーマに

 日本酒で乾杯推進会議(以下、推進会議)の佐賀大会(主催=日本酒造組合中央会主催/主管=佐賀県酒造組合)が10月15日の午後、<酒と器とうまかもん>をメインテーマに、佐賀市の県立佐賀城本丸歴史公園内で開催されました。会には、推進会議の一般会員や日本酒ファンのほか、推進会議の幹部や地元の蔵元関係者など合わせて約250名が集い、乾杯をテーマにしたフォーラムや満月輝く佐賀城本丸跡での酒宴などを楽しみながら、中秋の一夜を満喫しました。

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●「肥前杜氏の郷」で第3回目の地方大会

開会の挨拶をする木下佐賀県会長
開会の挨拶をする木下佐賀県会長

 日本酒で乾杯推進会議の地方大会が開かれるのは、一昨年の岡山県、昨年の山形県に続いて3回目。「肥前杜氏」を生み出した日本有数の酒どころであり、有田焼など伝統陶磁器の名産地としても名高い佐賀県は、「日本酒で乾杯運動」についても一貫して熱心な活動を展開してきており、九州地区初の大会開催地としては、まさに打ってつけの舞台といえます。
 大会のプログラムも、基調講演とパネルディスカッションを組み合わせたフォーラム(16:30〜18:30、会場=佐賀県立美術館ホール)と、懇親パーティー「日本酒の宴」(19:10〜20:40 会場=佐賀城本丸歴史公園屋外特設会場)の2部構成という盛りだくさんな内容で、参加者は地元の著名人らによるパネルディスカッションに耳を傾けたり、佐賀の地酒と料理に舌鼓を打ったりして、和やかな「乾杯と交歓」のひと時を楽しみました。

フォーラム会場の佐賀県立美術館ホール
フォーラム会場の佐賀県立美術館ホール

 大会の冒頭で挨拶に立った木下会長は、「健勝と多幸を祈念して、先祖や八百万の神々にお願いするのが日本の乾杯。日本人がビールやシャンパンで乾杯しても、バッカスの神は願いを聞いてくれない」と過剰な洋風志向を戒めた上で、「日本人の美徳である謙譲の心を今こそ取り戻さなければならない。日本酒で乾杯運動は単に日本酒のためだけでなく、日本文化全体の再生をめざすもの。今日のイベントを通じて、なぜ今日本酒で乾杯が必要なのかを知ってもらいたい」と運動への理解を呼びかけました。

 

●「有田焼で立礼での乾杯にふさわしい酒器開発を」(神崎氏が講演)

神崎宣武氏
神崎宣武氏

 フォーラム前半の基調講演は、推進会議100人委員会のメンバーで民俗学者の神崎宣武氏が「盃事と乾杯」と題して、日本の伝統的な酒礼(礼講と無礼講の意味)や、日本における乾杯の発生とその後の変遷などを、昨年度発刊された『乾杯の文化史』の研究成果などを引用しながら説明したもの。
 この中で神崎氏は、「神様に供えたお神酒を降ろして皆で分かち合うというのが礼講の本来の意味であり、神様に健康や幸福を祈念して行う乾杯も礼講の儀式と言える。だとすれば、乾杯の酒は当然日本酒でなければならないのに、今はビールで乾杯が当たり前のようになっている。これは明らかに文化のボタンの掛けちがいだ」「日本酒は神との誓酒であり、少なくとも礼講の席では日本伝統の国酒である日本酒を大切にしたい」などと述べたほか、立礼での乾杯に使う酒器の問題にも言及。「現代では立礼での乾杯が主流になっているが、これに合った日本酒の器がない。10月2日に東京で開催された推進会議の総会・フォーラム&パーティーでは、石川県輪島市の漆器振興協議会が立礼にも使える輪島塗の酒器を50点以上展示して注目を集めたが、有田焼きでもぜひこうした酒器を開発してほしい。これは今後の運動にとって不可欠なことだと思う」と、時代に合わせて乾杯のスタイルも変化していく必要があるとの考えを示すとともに、乾杯の仕方についても「目線に上げる程度でグラスは打ち付けない」と具体的な提案を行いました。

 

●古川佐賀県知事らをバネリストに楽しいトーク

談論風発
談論風発

 続いて開かれたパネルディスカッション「乾杯の心 佐賀流」では、エッセイスト・筒井ガンコ堂として知られる筒井泰彦氏をコーデイネーター役に、古川康佐賀県知事、テーブルコーディネーターの田中ゆかり氏、さらに推進会議からも西村隆治運営委員長がパネリストとして加わり、佐賀の地酒や郷土料理、さらには酒席を彩る佐賀の陶磁器などをめぐって楽しいトークを展開。

  まず、西村委員長が「来年は北海道、再来年は奈良県での大会を予定している。こうした取り組みを通じて運動が地域に拡大し、地域の文化がもう一度見直されることを期待する」と今後の運動計画を説明したのに続いて、筒井氏が「佐賀県は日本における米作の発祥地であり、日本酒との縁も長く深い。その佐賀県で日本酒で乾杯の地方大会が開催されるのは非常に意義深いことだ」と発言。これを受けて古川知事も、「水や米のおいしい佐賀県には、いいお酒もいっぱいある。そうした志のある酒造りをわかってもらいたくて原産地呼称管理制度を立ち上げた。こうした取り組みを通じ佐賀の酒のおいしさを全国に広めることで、日本酒文化全体が全国で再認識されるようになることを願っている」などと述べて、日本酒そして日本文化の復権には地方のパワーが大きな役割を担っていることをアピールしました。

 一方、酒器や郷土料理について語り合った場面では、筒井氏が「焼き物王国の佐賀県は、陶器も磁気も両方生産する珍しい県。酒肴になる食材も豊富で牛肉も野菜もおいしい」と述べたのに対し、他のパネリストからも「日本人は器に思い入れが深い。パーティーをコーディネートする際などに、参加者にお好みの有田焼のぐいのみを選んでもらったりすると、とても喜ばれる。何を飲むかということと同時に、何で飲むかということも大切だ」(田中氏)「イカやウニなどの海産物をはじめ、良質な酒の肴がそれほど努力せずに手に入るゼイタクな土地柄」(古川知事)など発言があいつぎ、ひとしきりお国自慢で盛り上がるシーンも。

 最後は筒井氏が「日本を代表する日本文化の粋・日本酒を、日本酒王国である佐賀県としても守っていかなければならない。皆さん、乾杯はぜひ日本酒で!」と呼びかけてトークを締めくくりました。

筒井泰彦氏 古川康氏 田中ゆかり氏 西村委員長
筒井泰彦氏 古川康氏 田中ゆかり氏 西村委員長
 

●満月にも酔った「日本酒の宴」

辰馬会長
辰馬会長

 第2部の懇親パーティー「日本酒の宴」は、佐賀城本丸跡の公園に会場を移しての開催。ロの字型にテントをはりめぐらせた特設会場の上空には、開会と同時におあつらえ向けの満月も昇って、絶好の月見酒ムードに。受付で好みの有田焼の盃を選んでそれぞれのテーブル着座した参加者も、「こんなにきれいな月夜になるなんて」「今晩はお酒がおいしそう」と口々に感激の声を上げ、宴のはじまる前から早や月に酩酊したかの様子。

指山佐賀商工会議所会頭(左上)の発声で乾杯
指山佐賀商工会議所会頭(左上)の発声で乾杯

 会では、はじめに中央会の辰馬会長が「美しい田園の広がる佐賀県は、同時に明治の初めから海外に眼を向けてきた先進地でもある。その佐賀の地から、日本と世界、そして皆さんの幸せを祈って、有田焼の盃で乾杯しよう」と挨拶したのに続き、佐賀商工会議所会頭の指山弘養氏の発声で、参加者全員が「日本酒で乾杯!」して酒宴の幕開け。地元の四重奏団が典雅な調べを奏でる中、会場の一画には燗酒のサービスコーナーも設けられ、参加者は郷土料理と有田焼の盃で思い思いの地酒や燗酒を酌み交わしながら、賑やかな交歓風景を繰り広げました。

 
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交歓のひと時

 「今日まで見ず知らずだった」という2組のグループが和気藹々の盛り上がりを見せるテーブルでは、「知らない者同士がすぐに仲良くなれるのが日本酒のいいところ。満月もきれいだし、参加してホントによかった」と喜色満面の女性も。また、「去年の月見の会で知り合った」という男女6人グループは、「この会があると知って今年は女性側からお誘いした。中年の合コンですね」と、こちらも意気軒昂。このほか、自作のぐいのみを持参して「焼き物の街だから、趣味でマイ猪口を作ってみた。自分だけの盃で飲むのはおいしいね」と言う男性がいたり、各テーブルを回って応接に当たった地元の蔵元関係者と日本酒談義に花を咲かせる人がいたり−。
 地元の旅館あけぼのの音成日佐男社長の中締めの挨拶が終わっても、会場には乾杯、乾杯の明るい声が響き渡っていました。

 

●宴の風景
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