〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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相澤好治氏相澤好治(あいざわ よしはる)氏
昭和21年(1946年)東京生まれ。学校法人北里研究所常任理事。昭和46年慶應義塾大学医学部を卒業、同大学院(内科)修了し米国ブラウン大学留学後、昭和55年北里大学医学部衛生学公衆衛生学講師、助教授、教授、医学部長を務め、平成24年4月名誉教授。詩吟は天心流東京愛吟同好会長で相澤天山、書道は日本書作院理事長星弘道先生に師事し、相澤玉城を名乗る。著書に「室内空気質と健康影響」、「産業保健ハンドブック」、「医療機関での産業保健の手引き」など。

パーティーでの酒類考現学
 

 食の健康ブームであろうか、日本の伝統食が見直されているのか、最近のパーティー会場では寿司は必須のメニューであり、寿司の周りは山のような人だかりで、最初に品切れになるのが通例である。さて寿司に合った飲み物を求めるとどうか。寿司に合うのはビール、ワイン、ウイスキーではなく、日本酒が一番であることは論をまたない。寿司屋に行っても、ワインを飲みながら摘む方は稀であろう。それなのに何故か、寿司のあるパーティーに日本酒が見当たらないことが多く、頼んでやっと出てくることもある。食に繊細な日本人にとって、この現象は悲しむべきことである。筆者もワインが嫌いなわけではなく、チーズや洋食ではワインを楽しみ、二次会ではウイスキーの水割りが一番である。寿司の共通な食材は米で、醤油につけるので、これに合うのは日本酒であることは自明である。つまり食に合わせて酒を選ぶのが正しい酒の飲み方と思うのである。

 それでは、なぜパーティー会場から日本酒が駆逐されているのか?これはホテルに聞いた訳でなく、全くの推論だが、よい日本酒の場合は、種類にもよるがワインに比べて割高であるし、燗、冷酒または室温と好みに多様性があり手間がかかる。またお銚子や盃も小ぶりで、提供する方は回数が増えて面倒であるし、立食パーティーでは飲む方も都合が悪い。

 それらの状況を勘案して筆者は、冷やした吟醸酒一升瓶をワインバーに置き、杯はワイングラス程度の大きさにすることを提案する。吟醸酒にお燗を請求する人はいないから銚子もお猪口も不要で、グラスが大きいので注ぐ回数も少なくなるはずである。実際に筆者の所属する大学の父母会懇親会では、事務局長の配慮による上等日本酒が用意され、その人気は毎回すこぶる高く、数本の日本酒が会の前半で空になる。それほど日本酒に人気があるかと今更ながら感慨にふけること頻りである。ホテル業界との交渉により、食と酒の素晴らしいコラボを身近な会で楽しめる機会を是非作って頂きたいと熱望する次第である。

 
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詩吟と日本酒
2011.06.30
 
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