〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
畑正高氏畑正高(はた まさたか)氏
松栄堂主人。昭和29年 京都生まれ。大学卒業後、香老舗 松栄堂に入社。平成10年、同社代表取締役社長に就任。香文化普及発展のため国内外での講演・文化活動にも意欲的に取り組む。平成16年ボストン日本協会よりセーヤー賞を受賞。環境省 かおり環境部会委員、京都府教育委員、同志社女子大学非常勤講師などの公職も務める。著書に「香三才」(東京書籍)、関連書籍として「香千載」(光村推古書院)などがある。

不思議なことに
 

 自分自身で本当に不思議に思っていることなのです。実は、いわゆる厄年を越えた頃から嗜好が好転し、まさか飲めるとは思いもしなかったお酒が美味しく飲めるようになってきたのです。もちろん、基本的には強くないのですから、すぐに真っ赤になってしまいます。宴席で「乾杯!」と杯を上げて飲みだすと、誰よりも早く真っ赤になりますから、「独り宴会をしているみたい・・・」などとからかわれます。でも、それからいつまでも、けっこうお付き合いができるようになったのです。
 若いころは、せいぜいビールか薄い水割りしかいただけなかったのに、今では、ワインも焼酎も、そしてもちろん日本酒も、実に美味しいのです。昔の私を知っている人には、「飲みあがったね!」などと驚かれたりして・・・。
 飲めるようになってとにかく嬉しいことは、日本酒の味が実にバラエティ豊かだということを知ったこと。全国各地へ旅をしたり、いろいろといただき物をしたり、とにかくこれほどに香りも味も個性のあるものとは、話には聞いていてもやはり我が身をもって楽しめることが素晴らしい。辛口という言葉にもいろいろとあって、見事スルスル入るお酒に出会ったときなど、ホーッと香りも楽しくなります。落語で聞いていた「ぬる燗」の美味しさは、なるほど。宴席での盃のやり取りも仲間に入れるようになりました。でも、小さなお店の片隅でチビチビ手酌を・・・などということは、やはり基本的にお酒の弱い私には無理なのです。
 日本酒を愛する人々からはお叱りを受けることと恐れながらも正直に白状しますが、ある夏の夜に見つけた私の楽しみは、「吟醸酒のロック」です。京都の蒸し暑い夏の夜に、薫り高い吟醸酒をカランと鳴らしながらサラッといただく楽しさは、キュッと冷えたシャンパンにも勝る美しさがあると、この原稿を書きながらもカランといただいています。
 これからは、お酒をどれだけ永く楽しめるか、不思議な力に感謝しながら楽しませていただこうと願っています。

 
 
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