〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
HOME 乾杯のスピーチ集 日本酒からの手紙 概要 活動 コラム
コラム
100人委員会コラム
石川雄章氏石川雄章(いしかわ たけあき)氏
公益財団法人 日本醸造協会 代表理事・会長。清酒製造技術 日本醸造協会 1998(共著)酒の科学 朝倉書店 1995(共著)など。

無形文化遺産になった和食に日本酒を思う
 

 和食「日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録された。和食と縁の深い日本酒にとっても喜ばしいかぎりである。まさに、「日本酒で乾杯!」である。

 和食として登録されたのは「日本人の伝統的な食文化」であり、日常的な和風料理で、その基本は「一汁三菜」、つまりご飯と汁物と惣菜である。それには限られた地域の郷土料理や麺類、餅なども加わる。そして、(1)自然の素材を活かし、季節感をもった自然美の表現で、器や木製の椀、箸などの美も含まれる。それに(2)調和ある健康的な食生活。(3)年中行事との関わり。これらが日本人の伝統的な食文化とされたが、味噌、醤油、味醂、米酢などの醸造調味料や出汁の旨味があればこそである。それに、日本の高品質な農水産物を食材とする美味しさと安心・安全も忘れてはいけない。登録のための提案書に「酒」はないが、和食には國酒、特に日本酒は不可欠だ。日本酒と和食との相性の良さは勿論、伝統行事や冠婚葬祭にも欠かせない。それに日本各地には、それぞれの風土に合った多様な日本酒があることも魅力である。

 このような日本酒は和食とともに今や世界中で注目の的である。全米日本酒歓評会(Joy of Sake)は盛況だし、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本酒部門では今年(2014年)から普通酒や発泡清酒も審査に加える。さらにワイン・スピリッツ・エデュケーション・トラスト(WSET)では8月から日本酒専門講座を始めるという。いろいろなSAKEの香と味を適切に評価してその魅力を人々により正しく伝えたいからである。ひるがえって、本家本元の我が国ではどうであろうか。酒に限ったことではないが、郷土料理や地酒を紹介する番組などでは、試食・試飲するタレントさんなどが感想を問われると異口同音に「美味しい〜!」と言ってくれるが、その後が続かないことも多い。美味しいけど、香りがどんなであるか、味は甘いか辛いか酸っぱいか、濃醇なのか淡麗なのか。個人的な感想でいいし、専門的な言葉はいらない。もう少し具体的な表現で日本酒の美味しさを伝えるようにしたいものだ。あまりにも身近過ぎるためか、日本酒をじっくり「味わう、賞味する」という観点がいささか稀薄だと感じるのは私だけであろうか。

 
 
  < 100人委員会コラム 目次 >  
 
Copyright(c)2006 日本酒で乾杯推進会議