〜日本文化のルネッサンスをめざす〜日本酒で乾杯推進会議
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100人委員会コラム
浜美枝氏浜美枝(はま みえ)氏
女優。1943年生まれ。食アメニティー女性ネットワークの会会長。主著に『子どもの「おいしい!」を育てる』(すばる舎)、『やさしくて正直な「食の作り手」たち』(家の光協会)、『私の骨董夜話』(リヨン社)、『浜美枝 農と生きる美しさ』(家の光協会)、『浜美枝 凛として箱根暮らし』(主婦の友社)他多数。

ひとりで楽しむ感謝のお酒
 

 人と人が出会うときに、盃を重ねるお酒も素敵ですが、私が最近、心ひかれているのは、旅先で、ひとりで楽しむお酒です。

 子どもたちが独立し、家族のために食事を作ることから解放され、仕事が終わるやいなや、あわてて家にトンボ返りする必要もなくなりました。
飛行機ではなく、特急電車やときには鈍行列車でゆっくり車窓の景色も楽しみつつ、仕事先に行ったり、帰りにもう一歩足を延ばし、近くの町や村をお訪ねしてプライベートで一泊したり、出雲大社や伊勢神宮にも毎年、お伺いできるようにもなりました。

 そんなとき、私がよく利用するのは駅前のビジネスホテルと、地元の小料理屋か居酒屋です。先日、出雲大社にいったときにも、出雲駅の近くのホテルをとり、ほど近い場所にある居酒屋ののれんをくぐりました。
こういうときに私が座るのは決まってカウンターの隅っこの席です。宍道湖でとれるシジミや日本海の魚をつまみながら、地酒を一合、注文しました。
その場所の空気を吸い、その地域でとれた肴と、その風土が育て上げたお酒をちびりちびり。聞くともなしに耳に届くお国訛りも楽しい地元の人々の会話もちょっぴり味わいながら……体の中にふわりと日本酒が熱く広がっていくのを感じ、しみじみ幸せを感じることができました。
出雲では翌朝、まだ暗いうちに起き、駅前から出る始発のバスにのり、白々と朝日が照らし始めた、限りなく清涼な出雲大社にお参りさせていただきました。
昼はもちろん出雲そば。せっかくなので、ここでも冷酒を一合いただき、満ち足りた気持ちで、出雲を後にしました。
元気で、ひとりで旅ができ、新しい経験を重ね、おいしく日本酒をいただける……そうしたすべてに対する感謝の気持ちが、私に力を与え、再生してくれるような気がします。

 
 
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